夜明け3秒前
この旅行は、8月1日から8月31日まで。
最終目的地のコテージまで、電車に乗って向かう。

今日は、ここから7時間ほど電車に乗り、海沿いのホテルに泊まる。
コテージには、明後日の昼過ぎ頃に到着する予定。

パーティーの日程は25日。
帰りは行きと同じように、ホテルに泊まってから帰る予定……


と、電車に揺られながら、流川くんに改めて聞いた。


電車に乗ってから、1時間はたったかな。
窓の外の景色は、住宅街、ビル、住宅街と変わっていく。


長時間乗ったことがないから、考えたことすらなかったけれど、私はこうして電車に揺られるのが好きらしい。

ガタンゴトン、という音を聞きながらぼーっと景色を眺めるのは、心が落ち着いて安心する。


隣に座っている流川くんは、時折話しかけてくれたり、スマホを触っていたり、同じように景色を眺めていたりする。


いつもより沈黙の時間が多いけれど、思ったより気まずくはなかった。
これも彼のおかげなのかな。


「凛月、昼ご飯何食べたい?」


流川くんのことを考えているときに話しかけられたせいで、ドキッとして肩が跳ねる。


「な、なんでもいいよ。流川くんが食べたいもので」


無性にドキドキしてしまっているのを隠すように、笑って答えた。

彼は、うーんと悩むように唸ったあと、何かいいことを思いついたような表情に変わる。


「じゃあ、凛月は嫌いな食べ物とかある?」

「うーん……特にない、かな」

「わかった。じゃあ俺のオススメのところ連れて行くから、楽しみにしてて!」


そう言っている彼が楽しそうで、私の心も明るくなる。
うん、と頷いて、また2人で景色を眺めた。
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