夜明け3秒前
太陽の位置も高くなって気温が高くなってきた、12時30分頃。
とても大きな駅に着いて、電車を降りた。


地元に比べて人が多く、歩いているだけでぶつかってしまいそうで少し怖い。
流川くんに案内されるままついて行くと、壁がガラス張りになっている綺麗な洋食屋さんに着いた。


お店の中で、ご飯を美味しそうに食べている人がたくさん見える。
店員さんは忙しそうで、繁盛しているみたいだ。


「ここ、毎年来るんだ。パスタが美味しくて」
「そうなんだ……確かに、素敵なお店だね」


なんというか、キラキラしている。
私みたいな子どもっぽい人には似合わない気がして、気後れしてしまう。


流川くんは普通に入店すると、店員さんに2人ですと答えて、案内されるまま席に着く。
私も後ろをついて行ったけれど、なんだか落ち着かない。


メニューを見てみると、彼の言った通りパスタが美味しいらしく、大きく写真が載せられていた。


トマトソースパスタ、明太子クリームパスタ、カルボナーラ……
写真を見ているだけでお腹が空いてくる。


「俺のオススメは、トマトソースパスタ。美味しいよ」


にこにこ微笑む彼は、このお店にいても何一つ違和感がない。
同い年のはずなのに、私より大人に見える。


「……じゃあ、それにしようかな」
「うん、飲み物は何がいい?」


ドリンクのメニューが書いてあるところを、わかりやすく指をさしてくれた。
無意識にコーンスープを探してしまうけれどない。


「えーと……じゃあ、オレンジジュースで」
「わかった」


店員さんを呼ぶと、自分の分と私の分を注文してくれる。
ありがとう、とお礼を言うと、全然いいよと笑ってくれた。
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