夜明け3秒前
トイレに行ったあと、手を洗って急いで改札の方をめざす。
すると、流川くんを囲むように3人のおしゃれな女性がいて、彼に話しかけていた。


今まで見たことはなかったけれど、さすがにわかる。

これって……ナンパされてる!?


流川くんはにこにこして対応しているけれど、眉は下がって、少し困っているようにも見えた。
それに対して女性たちは、ぐいぐいと楽しそうに迫っている。


ど、どうしたらいいんだろう……!?
声かけない方がいいよね……?


でも、本当に困っているかもしれないし、助けた方がいい……?
いやだけど、どうやって助けるの!?


あわあわと1人で慌てていると、ふいに流川くんと目が合った。
嬉しそうな表情に変わって、ドキッとする。


「凛月!」


名前を呼ばれて、女性たちの視線が一斉に私の方へと向く。
それはあまり優しいものじゃなくて、またドキッとした。


仕方なく彼の方へと歩いていくと、女性たちは私の顔をじっと見てくる。
そして舌打ちをしたかと思うと、すたすたとどこかへ行ってしまった。
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