夜明け3秒前
よかった、と安心するのと同時に羞恥心がわいてくる。
私、いろいろな意味も含めてやらかしてた……!


頭を抱えていると、流川くんは急に真剣な顔になる。


「だから、そうやって男を褒めるときは注意して。勘違いして、凛月に言い寄ってくるかもよ」


そう言うと、彼の人差し指が私の唇にちょんと触れる。


それは絶対ない。
まず、こんなふうに褒める相手なんて限られているし、それ以前に私に言い寄ってくる人なんていないし。

そう思ったし言おうとも思ったけれど、


「わかった……」


としか口から出なかった。


それはなぜかわからない。
彼がいつになく真面目な顔をしていたからかもしれないし、彼の照れがうつって、私まですごくドキドキしていたからかもしれない。


とにかくその後は上手く話すことができなくなって、それはお昼ご飯を食べ終わるまで続いてしまった。
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