夜明け3秒前
「ここがじいちゃんのコテージ。暑いし、早く中に入ろっか」

「う、うん!」


少し山奥に入った、緑に囲まれている建物。
近くに家もなく、とても静かで、蝉の声だけが聞こえる場所。


すごい……!
何て言ったらいいかわからないけれど、コテージって感じがする……!


感動している間に、流川くんは扉を開けた。


「じいちゃーん、来たよー」


少し大きな声で家の中に呼びかけると、返事と足音が聞こえてくる。
ドキドキと緊張している間に、その人物はすぐに私たちの元へきた。


「いらっしゃい、待ってたよ2人とも」


優しい面持ちで、雰囲気が流川くんに似ている。
たぶん60代くらいだけれど、健康的で、綺麗な人だ。


「初めまして、佐藤凛月です。お世話になります」

「初めまして、凛月さん。わたしは流川 (きよし)と言います。よろしく」


とても緊張しながら挨拶をしたけれど、優しく丁寧に返ってきて安心する。


「さあ中に入って。ここまで遠かったろう、お茶を出すよ」


清さんに促されて玄関へと入る。
自分の家にはない、木の香りがした。


「お邪魔します」


靴を脱いで並べて、2人の後をついて行く。
中は開放的な作りになっていて天井が高い。

外とは違いクーラーが効いていて、とても涼しかった。


「そこに座って待っていてくれるかい?」
「はーい。凛月、荷物置いて隣おいで」
「う、うん」


木製のダイニングテーブルは、この空間にとてもあっていて温かい気持ちになる。
流川くんがわざわざ椅子を引いてくれた場所に座った。
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