夜明け3秒前
「凛月?」


いつの間にか目の前にいた流川くんに声をかけられて、はっとする。
私、またぼーっとしてた。


「おかえりなさい、流川くん」
「ただいま。具合悪い?」


心配そうな顔で見られて、申し訳ない気持ちになる。


「ううん、全然元気だよ」


彼の心配が吹き飛んでしまえ、と笑って答えたけれど、彼の表情は曇ったまま。


「そっか。それならいいんだけど」


そう言ってこの話を終わらせてくれたけれど、流川くんは納得がいかないような顔をしている。
ああ、私またやっちゃったな……


反省をしていると、部屋から清さんが出てきた。


「おお、帰っとったか千那。おつかいありがとう」

「いいよ全然。はいこれ、買ってきたやつ」


流川くんは、手に持っていたビニール袋を清さんに渡す。


「よしよし、ちゃんと全部あるな。これで育てられる」


清さんは嬉しそうに袋の中身を見た。
最近ガーデニングにはまっているらしく、いろいろな種を植えているらしい。

少し見せてもらったけれど、綺麗な花が咲いていてすごかった。
植物にも愛情を注いでいるのがわかる、素敵な人だ。


「ところで、これってマフィン?」


流川くんは、私の手元を指さす。


「おお、さすが凛月さん。上手くできてるなあ」


にこにこと微笑まれて、あっと気づいた。


「流川くん、清さん!席に座ってください!」
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