秋の魔法
僕は気が付いたら、僕の部屋にあるに布団に寝転がっていた。どうやってここに来たのか、どうして記憶にないところが痛むのか。そのことについては分からなくもない。
きっと「彼」がしたのだろう。僕はその場で呪文を唱え、魔法を使って「人格」を分ける。
「…あんたが僕の『代わり』になってくれたんでしょ?雪羽(ゆきは)?」
白い瞳を持つ僕に「そっくり」な少年、雪羽に話しかけると、雪羽は「さぁね」と笑みを浮かべた。窓越しに映る僕の瞳はオレンジ1色。
僕は二重人格だ。幼い頃からの父による暴行のせいで別人格が生まれた。人格が混合している時の僕の目は、白とオレンジのオッドアイだ。
魔法をかけ、一時的に人格を分けている時は、僕の目は生まれつきのオレンジ1色に、雪羽の目は白一色に変わる。
「…もし、雪羽の時に先輩たちに会ったら…二重人格だってことは話していいよ」
僕がそう言うと、雪羽は無言でうなずいた。その時、ドアが乱暴に叩かれる。僕は慌てて魔法を解き、雪羽を元に戻した。
「な、何…?」
「飯だ」
そう言って乱暴にドアが閉められる。僕は部屋を出ると急いでリビングに向かった。