秋の魔法
僕は授業をサボり、屋上の地面に座っていた。秋の涼しい風が僕の頬を撫でていく。
「あれ、秋羽…来てたの?」
僕が後ろを振り向くと、先輩は優しく微笑みながら僕を見ていた。
「先輩もサボりですか?」
僕が真顔で問いかけると、先輩は「…うん」と返し、僕の隣に座った。
「…懐かしいなぁ」
隣で先輩が呟く。僕は横目で先輩を見つめた。先輩は悲しそうに微笑んでいる。僕は何にも感じないが、雪羽ならきっと先輩と同じように悲しくなるだろう。雪羽はそういうやつだ。
「…僕には、双子の弟がいた」
先輩は空を見上げ、呟く。僕は先輩に顔を向ける。僕は表情を少し崩した。
「英太先輩…ですか?」
僕が先輩と出会った時には、先輩の双子の弟はいなかった。
「そう…2人で授業をサボって、こうやって並んで座っていたことを思い出したんだ」
先輩は僕に悲しそうな笑顔を向けた。その時、寝不足のせいで強い眠気が襲ってくる。
「…眠いの?なら、寝なよ」
先輩の表情は悲しそうな笑顔から優しい笑みに変わり、僕は眠気に耐えられずに深い眠りに落ちた。