大好きな人へ。
LIVE当日。



お兄ちゃんからメールが入っていた。



『LIVE終わって、会場出たら一花ちゃん連れて楽屋おいで。』



「いいの?」



『今日だけだよ。いつもあすかがお世話になってるし、そのお礼も兼ねて。ま、会うのも今日が最後だけどね』



「あ、うん。分かった。」



「遼くん?」



「あ、うん。」



私達は今会場前で亜子ちゃんを待っている。



「今日、LIVE終わったら楽屋おいでって。お礼したいってさ。」



「それ、亜子も連れてっていい?1人で待たしておくのは…」



「いいんじゃない?わかんないけど…あ、あれ亜子ちゃん?」



「そうそう!亜子ー!!!!」



「ごめん!待たせた!早く行こ!」



え…待たせておいて早く行こって…



ま、いっか。



『その前に、今から楽屋来て。』



「一花!私ちょっとトイレ!」



そして、そのまま楽屋に向かった。



楽屋に入る前、警備員が立っていて、怪しまれた。



「えっと、あの…兄が中にいて…その」



なんて言えばいいんだろう



と、その時



「あすかちゃん!こっち」



警備員の人も驚いていた。



「雅さん?」



「ほら、早くおいで!みんな中で待ってるよ」



みんなの差し入れを持って、ついていく。



「みんな!今日はLIVE頑張ってね!」



「おう!」



「任せてください」



「任しとけ!」



「思いっきり楽しませてやる!」



別にファンじゃないけど、すごく楽しみ。



差し入れを渡して、楽屋を出ると



さっきの警備員が



「さっきすみませんでした。」



「いえ。ちゃんと説明できなかった私も悪いですし…」



そのまま無言が続いたので急いで会場へと向かった。



「あすか!こっちこっち!」



「一花!ごめん遅くなって!」



「いいよ、でみんなのとこ行ってきたんでしょ?」



「うん。」



「どうだった?」



「気合いすごかったよ」



「そっか」



奇跡的に私たちの座席は前の方でステージからよく見えるとこらしい。



そして、みんながファンサしてくれるだと。



そこで私は大事なことを思い出した。



「一花、亜子ちゃんも一緒に来るってことは、私が妹だってバレるってこと?」



「あ、そっか…」



「やっぱり待っててもらえないかな?」



「そうだね。亜子には悪いけど…」



そして、LIVEが終盤にかかった。




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