もうきっと恋に落ちてる
教室へ戻ろうかと話していて、航留が椅子から立ち上がった。
「 あれ、そんな背高かった?」
「 伸びた、一気に。前は凛々子と大差なかったけど今はちゃんと男に見えるだろ 」
「 見える、よ… 」
キス… しちゃったけど、私だけなんか恥ずかしい?
まともに顔見れないよ。
それになんて呼べばいい?
瀬名君? 航留君? 航留?
「 また考えてる、ちゃんと口に出せよ 」
「 ん…と、なんて呼べばいいかなぁ?とか、キス…したのに平気そうだなぁとか?」
「 航留でいいし、キスはしたかったから。俺だけ見てほしいしな 」
……なんて直球な奴。
「 航留… 」
それに中学ん時よりずっとカッコいいよ、背も高くなって髪色も少し茶色くしてて、ピアスも開けてたんだ。
私本当に航留をまともに見てなかったんだね。
今からちゃんと彼女になれるかな?
「 教室行くぞ 」
「 もう?」
もう?って、行かなきゃダメでしょ。
「 行きたくないなら何したい?」
「 何したいって、別に…… 」
「 その前に返事くれよ 」
あ… そうだった!
私、航留の正式な彼女になるんだもんね。
でももうキスしたのに、返事っている?
「 なぁ、考えるよりキスすれば?」
「 なっ なんでそうなるの!?もう2回もしたじゃない 」
「 足りないし。今日からお互いに今までのすれ違いの時間を埋めてくんだから。凛々子はもう俺のだろ? 」
そうだね、でも今からでも埋められるもんね。
たくさんの初めてを二人で。
3度目の正直って言うし、彼女として私から初めてするキスをあげる。
「 うん、そうだよ航留 」
今から毎日、航留への好きを貯めてくよ。
今までなかった会話もケンカもデートも…
航留と始めるよ。
好きを毎日あげたい、伝えたい。
好きを大好きに変えて、愛してるへ繋げる恋を航留と。
―完結―