冴えない私の周りは主役級ばかり~雫の恋愛行進曲〜
「雫ー! 小春ちゃんが来てるわよ。下りて来なさい!」



一階からわたしを呼びつける母の声が耳を触る。
ハッキリとしない意識の中、それは何度か繰り返された。



「もーっ! うるさいなー」



いつのまにか勉強机でうたた寝をしてしまっていた様だ。



目をこすり、ぼんやりとした意識が次第に覚醒していく。



「えっ? 小春?」



ドタドタと階段を下り、玄関口に行くと小春が待っていた。彼女はムスッとした顔付きだ。



「遅い! 何やってたのよ?」



「ゴメン、完全に意識無くなってたの」



「寝てただけでしょ! ……それより顔酷い事になってるわよ。待ってるから顔洗ってきなさい」



「え? 何処かに出かけるの?」



「ショッピングよ。高校生になるんだから、ある程度お洒落な服も用意しておかないと。さあ、早く出掛ける準備してきて!」
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