冴えない私の周りは主役級ばかり~雫の恋愛行進曲〜
くっ! 流石は頭いいだけあって、皆んなの前でクソ滑った、わたしの黒歴史も覚えている。



千夏だけが笑ってくれたんだよね、あの時。……引きつった愛想笑いだったけどね。



「そ、そうだね。心境の変化って奴よ。もう高校生だしね。後、出来ればダジャレの件だけど、記憶から消去しておいて。そんな記憶の為に使われている小春の脳細胞が、わたしは気の毒だよ」



小春は怪訝にわたしを見て、少し沈黙を挟んだ。



そして少しションボリした表情を浮かべ、再び口を開いた。



「こ、この前の事だけど、受験に落ちたなら落ちたで、頑張りなよって意味で言ったのよ。アタシ謝らないわよ」



相変わらずツンツンとされてらっしゃる。



どうやらこれを言う為に、わたしを誘った様だ。



一見、謝っていないが、これは間違い無く小春からの謝罪である。
幼馴染のわたしには分かるのだ。



「別に謝らなくてもいいよ。皆んなに迷惑かけたわたしが悪いんだから」



「そう。そう言ってくれたら気が楽になったわ」



彼女は今日初めて笑顔を見せた。
小難しい性格をしたわたしの恋敵は、やはり魅力的だったのだ。
 
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