冴えない私の周りは主役級ばかり~雫の恋愛行進曲〜
自分で言うのもなんだが、大らかで気の長いわたしにも嫌いな人はいる。それはアンチだ。



音楽動画配信で世界的に有名となった六人は、言うまでもなく、学校内でもスクールカースト最上位の存在だ。



カーストのピラミッドは、とんがりコーンの様に先端部分が尖るぐらいに断トツの存在なのだ。



では、わたしはどうだろう。取り立てて勉強も運動も出来ない。



容姿はまあ……中の上としておこう。一旦、そうしておこう。


 
『金魚のフン』



黄金聖闘士(ゴールドセイント)である六人と仲の良い、モブキャラなわたしは、アンチたちからそう陰口を叩かれていた。殆どの者は面と向かっては言って来ない。



わたしはそんな陰口を、三割程しか気に掛けていなかったが、稀に面と向かって言ってくる者もいるのだ。



そいつが正に今––––目の前にいる。


 
「あら誰かと思えば、宮橋さんじゃないの」



小春との買物を済ませ、一人で大型ショッピング入口横のベンチに座っていると、中学時代の同級生である坂口 玲奈が声を掛けてきた。



それと取り巻きのモブ二人が目の前にいる。



モブキャラなわたしがモブと言うのだから、それは高レベルのモブさんたちなのだ。
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