冴えない私の周りは主役級ばかり~雫の恋愛行進曲〜
「こんにちわ。坂口さんも買物?」



彼女らと至って親しくないわたしは、愛想笑いで対応する。



「貴方一人?」



彼女は周りをキョロキョロと確認した。



彼女はヒロトのファンだ。



ファンクラブにも入っている追っかけというやつで、彼が近くに居ないか確認したのだろう。



「ヒロトなら居ないよ。確か蓮たちと西口のファミレスに行くって、チャットアプリで言ってたような。ここから近いし行ってみたら?」



親切心でそう教えてあげた。否、親切心ではない。早く彼女らに立ち去って欲しいのだ。



中学時代に散々細かな嫌がらせをしてきた彼女を、わたしは毛嫌いしている。


 
「何よ偉そうに。金魚の糞の分際で彼らと友達気取りなところが、本当にウザイわね」



「えーと、何を怒ってるの? それに友達気取りじゃなく友達だから」



「うるさいわね、チビブス! 偶々、月島君の幼馴染だっただけで偉そうにするんじゃないわよ!」



 ……シドイ。何てヒドイ事を言う人なのだろうか。
内角ギリギリどころか、直球ストレートでデッドボールを狙うなんて……。



それにしても小春遅いわね。
トイレ混んでるのかな? 早く戻って来てよ! わたしのメンタルもたないよ~!
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