冴えない私の周りは主役級ばかり~雫の恋愛行進曲〜
阪口が去ってからすぐに小春は帰ってきた。



「坂口? 誰それ? そんなの同級生にいたっけ?」



「違うクラスにいたのよ。何時も二人の取り巻き連れてる巻き巻きの髪してる」



「えーと……知らないわね」



小春は上目で記憶を探っていた様だが、記憶の端にも掛からないらしい。



うーん。小春クラスになると眼中に無しってところか。そらそうだよね。アイツらが意地悪する時は、必ずわたしが一人でいる時だったし。



それにしても坂口までモブさんだったのね。ふふ。


 
「これからどうする? 蓮たちも近くにいるみたいだし合流する?」



「小春に任せるよ」



「じゃあ合流しましょ! 出発進行ー!」



服の入った紙袋を両手にひっさげて、西口のファミレスへと足を向ける。



小春はたんまりと新しい洋服を購入して上機嫌な様子だ。



「それにしても、面白いわね?」



「何が?」


「さっきの話よ、雫がブスって言われたって話」



歩きしな小春は先ほどの話を思い出して笑みを浮かべた。馬鹿にした嘲笑の様な感じでは無い。
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