冴えない私の周りは主役級ばかり~雫の恋愛行進曲〜
店内に入ると、奥の席に蓮とヒロトが居るのが見えた。



そしてあろうことか、その手前の席には坂口一行が陣取っている。



向こうもわたしに気づいた様だ。



まあ、皆んながいる前ではイジメられる事は無いだろう。
わたしは無視して御一行の席を素通りし、蓮たちのいる席へと座ったのだ。



「あれ? さやかと千夏と雄大は? 一緒じゃなかったの?」



「さっきまで居たんだけどな。千夏が観たい映画があるって話になったら、早速、三人で観に行ったよ」



小春の問いかけに答えるヒロトと目が合った。



彼は何かわたしに言いたげな表情を見せた。



あっ、そうか。ヒロトは小春が好きだったんだよね。皆んなが知らない特大ゴシップ。



安心しな、誰にも話さないからとウィンクで彼に知らせると、刹那に視線を外されてしまった。



オラついてる割には片思いとか、可愛いところあるじゃんヒロト。でも、そうなると恋敵は蓮。



ハードルが高そうだが、万一、ヒロトと小春がくっついたなら、わたしの最強の恋敵は場外へと消え去る。いや、ダメだ。何汚い事を考えてんのよ……。でも、しかし……。

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