冴えない私の周りは主役級ばかり~雫の恋愛行進曲〜
そして、もう一人の当事者も他人事では無いだろう。



わたしと背中合わせの席から、カタカタとカップを震わす音が聞こえてくる。



中学時代、散々嫌がらせをしてきた坂口を庇うつもりも無いが、ぶっ殺される程の事では無いな。



「別に怒ることの程でも無いよ。それに相手は女子だしね」



ヒロトは相手が女子だと分かると、机をダンッと一つ叩いた。
怒りのやり場が無かったのだろう。女子に手をあげる様な人間では無い事は分かっている。



「雫」



「何?」



「もし、虐められてんなら俺たちに直ぐに相談しろよ」



蓮はヒロトとは正反対に至極落ち着いてそう言ってくれた。



確かに彼らに相談すれば容易く解決してくれるだろう。



……でもそれは嫌なのだ。出来る限り彼らと対等でいたい、というプライドみたいなモノがわたしの中にはあるのだ。



「うん。ありがとう。困ったことが有ったら相談するね。ヒロトもありがと」



満面の笑顔でそう答えた。



雰囲気が少し和んだのが分かる。



丁度、注文したミルクココアが二つテーブルに運ばれた頃、小春は変にヒロトを焚きつけてしまった手前、話題を次へと切り替えた。
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