冴えない私の周りは主役級ばかり~雫の恋愛行進曲〜
そうか。確かコイツも青楓高校に受かったって言ってたっけ。



よくよく考えたら悲惨だな。
ヒロトと同じ学校に行くために頑張って勉強したのに、土壇場でハシゴを外された格好だ。



「誰だお前?」



「え?」



いやいや、アンタのファンだよ。



「私はヒロト君たちと同じ北中だった坂口 玲奈です」



振り返り彼女を見ると、しおらしくモジモジとしてらっしゃる。
わたしに『チビブス』と吐き捨てた同一人物とはとても思えないぞ。



「北中? 誰だか知らないが、俺が何処の学校に行こうがお前には関係無いだろ」



どんだけ仲間外に厳しいんだよ。坂口泣きそうになってるし、何かちょっと可哀想に思えてきたよ。



「坂口? 確か雫にブスって言ったのって、同級生の坂口って娘だったよね?」



小春、もうヤメテあげてー。彼女のHP、もう削るところ無いよ。



坂口と同じテーブル席に座るモブさん二人も、関係なさそうに振る舞い出してるし。



「か、彼女じゃないよ! 違う坂口って娘だよ。それよりもう遅いし帰ろうよっ」



わたしたちは抜け殻の様に立ち尽くす彼女を横目にして、ファミレスを後にしたのだ。
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