冴えない私の周りは主役級ばかり~雫の恋愛行進曲〜
「本題から話すけど、私も貴方たちと同じ北高に行く事になったわ」
「「えっー!」」
二人は双子の様にリンクして驚き、顔を見合わせた。
「……何よ? 私が一緒だったら嫌なの?」
「違う違う! だって玲奈ちゃん、ヒロト君と同じ青楓高校に行くからって、北高受験してないよね?」
雪が言った通り、私は北高を受験していない。
難関である青楓高校とはいえ、優秀な私が受験に失敗するなどありえない。
その為、滑り止めの高校を受けていなかった。
前に座る二人も青楓高校を受験したが、あえなく試験に落ちてしまい、滑り止めで合格した北高に進学する事になっていた。
「大丈夫。パパにお願いしたから」
私の父はこの街どころか県の有力者だ。
公立高校である青楓高校は無理でも、私立の北高なら何とかなるらしい。
「そ、それって裏口入学じゃぁ……」
「雪、言葉には気を付けなさい。これは裏口入学では無いわ」
「……えーと、どういう事?」
「私は北高より難関の青楓高校に合格しているわよね」
「まあ……」
「裏口入学とは、学力では入れない者が親のコネで入学する事。私の場合、レベルダウンさせる訳だから裏口入学にはならない。貴方たちもそう思うでしょ?」
まあ、無理やりな理論だが、大きくは間違っていないだろう。