冴えない私の周りは主役級ばかり~雫の恋愛行進曲〜
私は当時、地味で控えめな性格だった事もあり、ヒロト君に対して何の行動も起こせずにいた。


それでも学校に行けば会える事が楽しくて、幸せだったのだ。



「ち、ちょっと玲奈ちゃん待って!」



「何よ雪? ここからが本題なのに」



「いや、地味で控えめなって誰の事?」



「当然、私のことよ。まあ、続きを聞きなさい」



「う、……うん」



まあ、雪が言わんとしている事は分かる。



今の私は、いや、中学二年で雪たちと出会った頃には既に地味な見た目を払拭していた––––宮橋雫を撃破する為に。



六月の梅雨時、彼に話しかける千載一遇のチャンスが訪れた。



終礼が鳴った頃、さっきまで晴れ渡っていた空は早送りに鬱々とした暗がりへと移ろい、突然の豪雨となった。
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