冴えない私の周りは主役級ばかり~雫の恋愛行進曲〜
それにしても蓮ったら、わたしの初JK姿を見る前に先に行くなんてシドイわ!折角の初モノのプレミアなのに。



––––とは言え、三十分前に家を出たのなら、今から追いつく事は不可能。



「小春と一緒に行くか」


 
そう口にした刹那、ある事が頭によぎった。



「も、もしかして蓮と小春二人で登校したのでは……⁉︎」



慌てて蓮の家と逆サイドにある小春の家へと駆け出した。



インターホンを押して、小春のお母さんが出てきて、三十分前に家を出たと言われたら、わたしは貝になるだろう。



そして貝の様に潮流に乗って、ふらふらと流されるままに学校へと一人向かのだ。



などと考えてたら、インターホンを押すまでも無く、事件は解決された。



小春が家から出て来たのだ。



「あれ? 雫、待っててくれてたんだ?」



「えっ? う、うん」



わたしはマグニチュード八の激震を受けた。



制服姿の小春は、太陽が照りつけてる事もあいまり、上の上、否、特上を優に超えていたのだ。



彼女の発する美しさが『負けを知りたい』と、わたしに語りかけてくる。



「ぐっ……、わたしだって上の下だし」



わたしは何とか眩い彼女の後光を手で遮り、特上のオーラから精神と身を守ったのだ。



「上の下? また何か変な妄想でもしてんの? さあ、早く行かないと遅刻するわよ」



わたしは貝の様にふらふらと、小春と一緒に学校へと向かったのだ。
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