冴えない私の周りは主役級ばかり~雫の恋愛行進曲〜
北高は、最寄り駅から電車で二駅先にある。先ずは徒歩で最寄り駅へと向かう。
「蓮、何で先に一人で行ったんだろ?」
「もー、しつこいわね雫。何回その話するのよ」
「だっておかしいじゃん? 中学の時は三人で一緒に行ってたじゃん? これは由々しき問題だよ。熱くなろうよ小春」
「……朝っぱらから雫みたいに熱くなれないわよ。それに私たちもう高校生なのよ。蓮だっていつまでも幼馴染の女子と登校なんて、きっと恥ずかしいのよ」
小春はそう言ったが、わたしには到底高校一年生男子の心情など理解出来ない。
いつの間に二人は大人の階段を登ったのだろうか。エッチー意味では無い。精神年齢的な意味だ。
木造づくりの最寄り駅に着いた頃、わたしと小春は見てはいけないモノを目撃する。
「小春! アレって⁉︎」
「しー! 静かに! 後をつけるわよ雫」
学校までの道のりを、小春探偵と共に助手のわたしは、彼らの後を尾行する運びとなったのだ。