冴えない私の周りは主役級ばかり~雫の恋愛行進曲〜
「雫はどう思う? あの二人やっぱり付き合ってる?」
隣に座る小春はやけに嬉しそうだ。因みに追跡のターゲットは友達である、ドラムの雄大とベースの千夏である。
「うーん、どうかな~。そんな風には見えないけど」
「でも確証があるわよ」
「確証?」
「千夏は何時もさやかにべったりでしょ。それなのに今日は千夏と雄大のツーショット。あの千夏がさやかを差し置いてなんて、雄大が彼氏じゃないとあり得ないわよ!」
ホームズは目を爛々とさせ、理路整然と推理を披露した。
––––だが、助手ワトソンの見解は違う。立ち上がり小春へと指をさし、我が推論を口述する。
「甘いわね小春。わたしの推理はこうよ! さやかは入学式なのに風邪を引いてしまって学校を休む事になった。彼女は一人で北高へと行かなければならなくなった方向音痴な千夏を心配し、自宅が近い雄大に千夏を頼むと連絡を取った。勿論、雄大はそれを断る男ではない。––––そして今に至る。以上。何か!」
わたしの隙のない推論に、小春は悔しそうな表情で自身の髪先を握りしめた。ふふっ、負けを知りたい。