冴えない私の周りは主役級ばかり~雫の恋愛行進曲〜
「で、でもさやかが風邪なんて、都合良すぎる極論だわ!」



「それなら、付き合ってるかどうか、この五百円賭けてもいいわよ」



「それ、さっき私が貸してあげたお金でしょ!」



探偵ごっこは推理バトルへと発展し、我々は『真実は何か』を確かめる旅に出たのである。



カチャカチャと音を鳴らす不安定な連結部分を渡り、隣の車両へと移動する。



ものの数秒で、千夏と雄大は此方の存在に気付いた。雄大が手を挙げて、わたしたちを呼んでいる。



車窓の外に目をやると目的駅まではもうすぐだ。わたしたちは座らずに彼らの目の前に立った。



「オッパヨー」



「雫、高校生にもなって馬鹿な挨拶はやめなさい。恥ずかしい」



「オッパヨー、あれっ? そう言えば蓮ちゃんは一緒じゃないのか?」



「ちょっと何よアンタまで……」



流石は雄大。ノリが良いぞ。ショタ受けしそうな愛くるしい顔付きな雄大は、由々しき問題に触れる。



だが、その前に答え合わせが先決だ。

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