冴えない私の周りは主役級ばかり~雫の恋愛行進曲〜
「先に行ったみたいよ。……それより、千夏と雄大って……」
小春もわたしと同じく、早々に回答を得ようとしていたが言葉が続かない。顔を赤らめて目が泳いでいらっしゃる。
ふー、仕方ない。
「ねー? 二人って付き合ってるの?」
「ばばばばっ、馬鹿な事言うなよ雫! 途中で偶然会っただけだから、なっ千夏!」
むむむっ、雄大はあからさまな動揺を見せ、千夏へと相槌を求めた。
「えーと、さやかが風邪で学校に来れなくなったから、一人で登校してたら、駅前近くで雄ちゃんにバッタリ会っただけだよ」
小柄なわたしの個性を空気にせしめるロリ体型の千夏は、雄大のリアクションとは反して、淡々とそう答えた。
「わたしの勝ちね。小春」
わたしは地蔵のような澄んだ顔で、小春にそっと手を差し出し、五百円を求めたのだ。