冴えない私の周りは主役級ばかり~雫の恋愛行進曲〜
次に、三組のクラスメイト達の名前に目を通していく––––
「YES! YES‼︎」
神へ願いが通じたのか、同じクラスに『月島 蓮』の名前をわたしの小さな黒目が捉えた。
嫌な事がある度に神様に八つ当たりヘイトをするわたしだが、ここは感謝しよう。小一時間は感謝しよう。
「私はさやかと同じ二組ね。……あっ、雫、蓮と同じ三組じゃん!」
「まあね」
「な、何よそのドヤ顔……。千夏と雄大は?」
「俺はヒロトと同じ一組だったわ」
「私、七組だったよ……私だけ皆と教室遠くなるね」
ベースを弾いている時以外は、別人のように消極的で、人見知りな千夏にとっては過酷な組み分けだ。
悲しげな表情を浮かべる千夏とは反面、この時わたしは内心、オロオロとしたロリ少女に胸をトキメかしていた。
権之助像を叩いた事。小春へのドヤ顔。千夏への邪な心情。この時、既にわたしは神からのヘイトを稼いでいたのかもしれない……。
その後、昇降口を経て、三人とは各クラスへとそれぞれ別れたのだ。
この後、地獄の葛藤を繰り広げるともつゆ知らず、わたしは上機嫌に教室のドアをピシャリと勢いよく開いたのだ。