冴えない私の周りは主役級ばかり~雫の恋愛行進曲〜
わたしの先導により階段を上って行く。
お尻のあたりが、丁度、蓮の目線の高さだろう。パンツが見えないようにしっかりとガードする。
わたしでもこの辺の女子らしさは流石に備えている。
蓮だって思春期の男子。登山家がそこに山があるから山を登る様に、そこにパンツがあればパンツを覗く。自然の摂理だ。
「雫、足細いな」
さすがは蓮だ。その部位に注目したか。流石にパンツは見せれないけど、わたしの生足を堪能してくれ。足には自信がある。
「そ、そうかなぁ? 確かに良く褒められるけど」
彼がどんな表情をしているのか気になって一瞬振り向き見ると、彼は僧のごとく無表情である。
どういう事だ? 『足細い』は褒め言葉だよね。そうだよね。いや、一般解釈的にはそうでも好みは人それぞれだ。もしかして蓮がデブ専の可能性も捨てきれない。
わたしは念仏を唱えながら部屋のドアを開けて、彼を自室へと招えた。
「そこに座って。それ人がダメになるソファーって言うんだよ」
「へー。何か気持ちいいなコレ」
「でしょ!」
ファーストコンタクトは順調だ。
しかしこの後、何をすればいいのだろうか?
ゲームの類は持ち合わせていない。男子が好むものなどこの部屋には皆無。出来れば蓮とゆっくお話がしたいと言うのが、わたしの本音だが。
「えっ……?」
わたしはビクッと身体を硬直させた。
蓮の大きな手がわたしの頬へと伸びてきたのだ。
「動くなって」
「う、うん」
彼はそのままわたしの頬を、爪で十字に軽く二度刺した。
「顔を蚊に刺されて気付かないって鈍感だな」
「悪かったわね。鈍感で」
何のプレイが始まるのかとドキッとしたが、頬を蚊に刺されてた腫を爪で押してくれただけだ。
……って、普通そんな事する?
嬉しいよ。そら嬉しいよ。もし、わたしが黒髭危機一髪なら、爪で刺した瞬間に飛び跳ねてたところだよ。良かったよ黒髭じゃなくて。
でも私たちは彼氏彼女の関係では無い。今の行動を彼はどんな気持ちでやったのだろうか。小一時間問い詰める必要がある。
「わたしたちって、只の幼馴染だよね?」
「そうだな。それがどうした?」
「えーと。それにしてはスキンシップが激しすぎないかな?」
「何が?」
「今のよ今の! 他の人が見たらどう感じると思う?」
「別に何も思わないだろ」
くっ、話が進まない。単刀直入に聞くか。
「何でさっきのやってくれての? あっ、嫌って訳じゃないよ」
「何かさー。蚊に刺された腫れって、無性に爪で押したくならないか?」
理由シンプルだね。凄くシンプル。
「……そ、それだけ?」
「それだけだけど。他に何があるんだ?」
「……も、もういいよ」
ふぅ……。ダメだ。もう彼の言動で一喜一憂するのはやめよう。
「紅茶でも持ってこようか?」
「悪いな頼む」
わたしは気を取り直してキッチンまで行き、ティーカップにお湯を注ぐ。そこに安物のティーバッグを浸し、スプーンでグリグリと押し付ける。
本来はティーバッグを浸してからカップに蓋をして、時間を掛けた方が美味しく出来上がる。スプーンで押し付けると渋みが出てしまうのだ。
だが、今は時短を優先する。わたしの部屋には彼が一人でいる。健全な男子高校生なら下着入れなど物色している可能性も捨てきれない。
そうして時短で用意した紅茶をお盆に乗せ、部屋へと戻った。
ドアを開けた瞬間、わたしの目にとんでもない光景が飛び込んできたのだ。
お尻のあたりが、丁度、蓮の目線の高さだろう。パンツが見えないようにしっかりとガードする。
わたしでもこの辺の女子らしさは流石に備えている。
蓮だって思春期の男子。登山家がそこに山があるから山を登る様に、そこにパンツがあればパンツを覗く。自然の摂理だ。
「雫、足細いな」
さすがは蓮だ。その部位に注目したか。流石にパンツは見せれないけど、わたしの生足を堪能してくれ。足には自信がある。
「そ、そうかなぁ? 確かに良く褒められるけど」
彼がどんな表情をしているのか気になって一瞬振り向き見ると、彼は僧のごとく無表情である。
どういう事だ? 『足細い』は褒め言葉だよね。そうだよね。いや、一般解釈的にはそうでも好みは人それぞれだ。もしかして蓮がデブ専の可能性も捨てきれない。
わたしは念仏を唱えながら部屋のドアを開けて、彼を自室へと招えた。
「そこに座って。それ人がダメになるソファーって言うんだよ」
「へー。何か気持ちいいなコレ」
「でしょ!」
ファーストコンタクトは順調だ。
しかしこの後、何をすればいいのだろうか?
ゲームの類は持ち合わせていない。男子が好むものなどこの部屋には皆無。出来れば蓮とゆっくお話がしたいと言うのが、わたしの本音だが。
「えっ……?」
わたしはビクッと身体を硬直させた。
蓮の大きな手がわたしの頬へと伸びてきたのだ。
「動くなって」
「う、うん」
彼はそのままわたしの頬を、爪で十字に軽く二度刺した。
「顔を蚊に刺されて気付かないって鈍感だな」
「悪かったわね。鈍感で」
何のプレイが始まるのかとドキッとしたが、頬を蚊に刺されてた腫を爪で押してくれただけだ。
……って、普通そんな事する?
嬉しいよ。そら嬉しいよ。もし、わたしが黒髭危機一髪なら、爪で刺した瞬間に飛び跳ねてたところだよ。良かったよ黒髭じゃなくて。
でも私たちは彼氏彼女の関係では無い。今の行動を彼はどんな気持ちでやったのだろうか。小一時間問い詰める必要がある。
「わたしたちって、只の幼馴染だよね?」
「そうだな。それがどうした?」
「えーと。それにしてはスキンシップが激しすぎないかな?」
「何が?」
「今のよ今の! 他の人が見たらどう感じると思う?」
「別に何も思わないだろ」
くっ、話が進まない。単刀直入に聞くか。
「何でさっきのやってくれての? あっ、嫌って訳じゃないよ」
「何かさー。蚊に刺された腫れって、無性に爪で押したくならないか?」
理由シンプルだね。凄くシンプル。
「……そ、それだけ?」
「それだけだけど。他に何があるんだ?」
「……も、もういいよ」
ふぅ……。ダメだ。もう彼の言動で一喜一憂するのはやめよう。
「紅茶でも持ってこようか?」
「悪いな頼む」
わたしは気を取り直してキッチンまで行き、ティーカップにお湯を注ぐ。そこに安物のティーバッグを浸し、スプーンでグリグリと押し付ける。
本来はティーバッグを浸してからカップに蓋をして、時間を掛けた方が美味しく出来上がる。スプーンで押し付けると渋みが出てしまうのだ。
だが、今は時短を優先する。わたしの部屋には彼が一人でいる。健全な男子高校生なら下着入れなど物色している可能性も捨てきれない。
そうして時短で用意した紅茶をお盆に乗せ、部屋へと戻った。
ドアを開けた瞬間、わたしの目にとんでもない光景が飛び込んできたのだ。