冴えない私の周りは主役級ばかり~雫の恋愛行進曲〜


ホームルームを終え、森さんと帰宅するため昇降口へと下りると三人組と出くわした。

雪はしきりに玲奈へと謝っている。

「えーと、若菜ちゃんだっけ。何で雪ちゃん、玲奈ちゃんに謝ってんの?」

一人ポツリと立つ面識の薄い彼女に声を掛けてみた。

「なんかね、雪の二人三脚のパートナーがヒロト君になったんだって」

彼女は舌が回らぬどこか間の抜けた声でそう答えた。

見る限り玲奈は怒ってるでも拗ねてるでも無さそうだ。それでも玲奈の恋心を知る雪からすれば申し訳なく感じるのだろう。

わたしは玲奈の肩をポンッと手を差し置いた。

「……な、何よ宮橋さん!」

「玲奈ちゃんもわたしと一緒だね」

「一緒って何が? それになんかそのしたり顔ムカつくからやめなさい」

「わたしたちって、つくづくヒロイン気質じゃないって所だよ」

わたしは彼女に共感し、同情の目を向けたのだが、どうやら彼女はヒロイン気質を持ち合わせていたようだ。

この後、彼女は満面の笑みを浮かべる事となったのだ。
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