冴えない私の周りは主役級ばかり~雫の恋愛行進曲〜
電車に乗り込み地元駅に辿り着くと、雪と若菜は用事があるらしく駅の反対側へと帰って行った。
「やっと二人っきりになれたね」
ムスッとしたままの玲奈に冗談をほのめかす。
彼女はつっこむ事無くスルーを決めこむ。
わたしは歩みをとめない玲奈に仕方なく着いて行った。
「ちょっと待ってよ。帰っちゃうの?」
「……そうよ。だから着いてこないでくれるかしら」
「まだ時間早いし遊ぼーよ?」
「お断りよ」
バネのようにロールの掛かった髪を肩の後ろに掛け直した彼女は、何時もの様にツンツンしてらっしゃる。
「美味しいって有名なケーキを出すカフェが新規オープンしたんだけど、一緒に行こうよ?」
「しつこいわね! 全拒否してるのに貴方どんだけハート強いのよ! 何が目的なのよ?」
「目的? そんなの無いよ」
「……じゃあ何で私に構ってくるのよ?」
「うーん。友達と遊ぶのに理由いるかなぁ?」
「だから友達じゃないってばっ!」
「それなら親友?」
わたしは玲奈をしつこく誘う。
学校でも何度か絡みに行くが、彼女は一向にわたしにはデレてくれない。
最近、小春やさやかと一緒にいるところを目撃している。攻略ポイントはあるはずだ。