冴えない私の周りは主役級ばかり~雫の恋愛行進曲〜
中学時代は嫌いなカテゴリーであった彼女だが、不思議と今は仲良くなりたいと言う衝動に駆られている。

追われる側が追う側と変化したのだ。

もしかしたらわたしは中学時代も嫌いでは無かったのかも知れない。……苦手であったのは間違いないが。


 
わたしはその後も玲奈の横に並び歩き誘い続けた。

彼女は忙しいの一点張りだ。

そろそろホントに怒りだす頃合いかと、今日のところは諦めようとした最中、背後から名前を呼ばれた。

誰かと思い振り返ると立っていたのはヒロトだ。

「何やってんだこんなとこで? 雫の家、逆方向だろ?」

彼は着用義務のあるネクタイを反抗的にダラリと緩め、シャツをだらしなく外出ししている。

高身長なギターリストは相変わらずイケメンだが、何処か不良ぽい出で立ちだ。

「なんだヒロトか」

「……俺で悪かったな」

 ヒロトはそう言うと一瞬、視線を下へと落とした。

「今日は練習ないの?」

「雄大がクラス委員やってっから、その集まりかなんかで遅くなるらしい。一時間後にライブハウス集合ってところだ」

「そうなんだ。まぁー頑張りたまえ若者よ。それじゃーわたしは忙しいから」

ヒロトへ先に行くように促した。

わたしは今忙しい。ツンデレのデレを引き出す攻略中なのだ。
< 88 / 98 >

この作品をシェア

pagetop