冴えない私の周りは主役級ばかり~雫の恋愛行進曲〜
「ねえねえ、玲奈ちゃんってば~。カフェ行こうよ~。口コミの評価も星4だ……よ」

ヒロトから玲奈に視線を移し変えると、彼女は頬を桃色に赤らめている。

特急列車の如く停車する事無かった彼女の歩みは、どうやら停車駅へと着いた様だ。

「あのー。……こんばんわヒロト君」

デレてるっ!

さっきまでのツンツンが嘘のようだ。

玲奈の表情は一転して乙女の様相となっている。

髪をクルクルと指で弄りながら、上目遣いにヒロトを見やってる。

わたしがしつこく追い回しても見せてくれない彼女のデレを、ヒロトはものの十秒で引き出したのだ。

「誰だコイツ?」

デジャブかよ! 

前にファミレスで会った、あんたのファンの坂口玲奈さんだよ!
 
「えっと、同じ学校で二組の坂口玲奈です」

「二組? 知らねーな」

「……中学は同じクラスだった時もありました」

「悪りー、全然覚えてないわ。興味ねーし」

どんだけ仲間以外に厳しいんだよ!

可哀想な玲奈は目がブレブレになり、鞄をギュッと抱きしめている。

ここはフォローしてあげよう。
 
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