先輩、恋愛NGです!
-結衣side
チャイムと同時に教室に入った。
まだざわざわしているところから先生は来ていないよう。
窓側の一番後ろの席に着く。
「おはよう、結衣」
「あぁ、のえる。おはよ」
雪代のえる、今話題沸騰中のモデルだ。
最近ではドラマにも出演している。
この科では上位に入る子だ。
「髪、ぼさぼさだよ」
「遅刻しそうになって…」
もう、なんて言いながら、どこからかくしを取り出し、髪を梳いてくれる。
カバンの中から何に使いかもわからないたくさんのものが出てきた。
見た感じすべてヘア用品のようだ。
さすがモデル、といったところだろうか。
慣れた手つきで私の髪を直す。
「はい、できた」
鏡に映った自分は家を出発した時よりもはるかによくなっていた。
髪からいい香りまでする。
「ありがとう、のえる。」
どういたしまして、そう笑う顔はテレビで言われている通り天使のようだ。
整った顔、すらりとした体形、真っ白な肌…モデルのなるべくして生まれてた様な子。
なぜ普通な私と友達なのか、色々疑ってしまうほど。
HRが始まるとところどころ空席を見つけた。
もちろん上位の子たちの席。
99%の確率で仕事なのだろう。
私は入学してから今日まで欠席、早退なしの皆勤賞だ。
仕事は放課後か休日のみ。
それでスケジュールが組める仕事量。
「まぁ、仕事ない子よりはいいよね」
「ん?何か言った?」
「ううん、なんでもない!」
小さくつぶやいた言葉。
前の席ののえるには少し聞こえてしまったようだが、他の子たちには聞こえていないらしい。
上位の仲間ののえるも3時間目の途中から早退して地方ロケらしい。
一時間目の数学、つまらなくて窓の外をみた。
芸能科専用の校庭が見え、男子がサッカーをしている。
青色のシューズ、三年生だ。
三年生の上位の人はオーラが違う。
遠目からでもわかるキラキラ感。
その中には同じ事務所の方もいて。
いつかあんな風になりたい、なんて淡い期待を抱きながらその様子を眺める。
「小暮さん、小暮結衣さん!」
「あ、はい!」
「よろしくお願いしますね」
「はい!…なにを?」
わぁっと湧き上がる教室。
のえるも笑顔で私に向けて拍手をしている。
何の話だ、そう思いながら黒板に目を向ける。
“数学論文発表会”大き目にかかれた文字が目に入った。
夏休み前、芸能科の各学年の代表者三名が保護者を交えては発表会をするものだ。
基本全員参加で人気タレントの生徒たちもその時間だけは仕事を抜け出しやってくる。
もちろんこんな行事を楽しみにしている生徒なんて一人もいない。
代表者にだけはなりたくない、その気持ちを持っているものが多いだろう。
私もその一人だ。
去年、代表者に選ばれないよう必死に気配を消していたことを思い出す。
「…え、まさか代表者?」
「結衣、頑張って!」
どこか安心したような笑みを浮かべるのえる。
思いもよらない事態になってしまった。
チャイムと同時に教室に入った。
まだざわざわしているところから先生は来ていないよう。
窓側の一番後ろの席に着く。
「おはよう、結衣」
「あぁ、のえる。おはよ」
雪代のえる、今話題沸騰中のモデルだ。
最近ではドラマにも出演している。
この科では上位に入る子だ。
「髪、ぼさぼさだよ」
「遅刻しそうになって…」
もう、なんて言いながら、どこからかくしを取り出し、髪を梳いてくれる。
カバンの中から何に使いかもわからないたくさんのものが出てきた。
見た感じすべてヘア用品のようだ。
さすがモデル、といったところだろうか。
慣れた手つきで私の髪を直す。
「はい、できた」
鏡に映った自分は家を出発した時よりもはるかによくなっていた。
髪からいい香りまでする。
「ありがとう、のえる。」
どういたしまして、そう笑う顔はテレビで言われている通り天使のようだ。
整った顔、すらりとした体形、真っ白な肌…モデルのなるべくして生まれてた様な子。
なぜ普通な私と友達なのか、色々疑ってしまうほど。
HRが始まるとところどころ空席を見つけた。
もちろん上位の子たちの席。
99%の確率で仕事なのだろう。
私は入学してから今日まで欠席、早退なしの皆勤賞だ。
仕事は放課後か休日のみ。
それでスケジュールが組める仕事量。
「まぁ、仕事ない子よりはいいよね」
「ん?何か言った?」
「ううん、なんでもない!」
小さくつぶやいた言葉。
前の席ののえるには少し聞こえてしまったようだが、他の子たちには聞こえていないらしい。
上位の仲間ののえるも3時間目の途中から早退して地方ロケらしい。
一時間目の数学、つまらなくて窓の外をみた。
芸能科専用の校庭が見え、男子がサッカーをしている。
青色のシューズ、三年生だ。
三年生の上位の人はオーラが違う。
遠目からでもわかるキラキラ感。
その中には同じ事務所の方もいて。
いつかあんな風になりたい、なんて淡い期待を抱きながらその様子を眺める。
「小暮さん、小暮結衣さん!」
「あ、はい!」
「よろしくお願いしますね」
「はい!…なにを?」
わぁっと湧き上がる教室。
のえるも笑顔で私に向けて拍手をしている。
何の話だ、そう思いながら黒板に目を向ける。
“数学論文発表会”大き目にかかれた文字が目に入った。
夏休み前、芸能科の各学年の代表者三名が保護者を交えては発表会をするものだ。
基本全員参加で人気タレントの生徒たちもその時間だけは仕事を抜け出しやってくる。
もちろんこんな行事を楽しみにしている生徒なんて一人もいない。
代表者にだけはなりたくない、その気持ちを持っているものが多いだろう。
私もその一人だ。
去年、代表者に選ばれないよう必死に気配を消していたことを思い出す。
「…え、まさか代表者?」
「結衣、頑張って!」
どこか安心したような笑みを浮かべるのえる。
思いもよらない事態になってしまった。