異世界ニコニコ料理番~トリップしたのでお弁当屋を開店します~
「俺は料理のほうはからっきしだからな、ニコニコ弁当屋の宣伝でもしてくるぜ」
ニコニコ弁当屋のエプロンをつけたまま、ふらりと出かけていくランディに「自由行動しないでくださいよ!」とオリヴィエが叫んでいたが、本人は「俺に任せとけ!」と全く見当違いな返答をして去っていく。
「信じられません……宣伝と言いつつ、酒場にでもたむろう気では?」
静かに怒りに震えているオリヴィエの肩に、エドガーが手を置いた。
「ま、まあまあ。ランディの人柄なら、この町の人ともすぐに仲良くなれそうだよね。きっと、集客に向いてると思うよ」
「適材適所だ」
バルドさ──バルドも特にランディの行動に異論はないらしく、せっせとランチワゴン乗り込む。
それに促されるようにして私たちも中に入り、キッチンに立つとさっそくお弁当作りに取りかかった。
「まずは時間がかかるあさりご飯の準備からしよう。材料はあさりとグリーンピース、お酒に醤油……じゃなくて、プランブラン。だしを取る昆布」
「それは俺が準備しよう」
バルドが台の上に材料を並べていってくれたので、私はボールでお米を洗う。
それが終わると、水に漬けたお米の中に昆布を入れて置いておいた。
「今度はあさりの塩抜きね」
塩水に入れたあさりから、しっかり砂が抜けたのを確認して鍋に入れる。
そこへ醤油代わりのプランブランを大匙二杯とお酒を大匙一杯かけて蓋をし、蒸し煮した。
やがて殻がぱかっと開くと、あさりの実を出して一旦器に移す。
私はグリーンピースとお米、あさりの煮汁に塩を少量と水を百CCほど加えたものをエドガーが発明した炊飯器に投入した。
しっかりと具材を混ぜてスイッチを押すと、エドガーが慌てたようにあさりの容器を持ち上げる。
「あさりはご飯と混ぜなくていいの?」
エドガーは、私があさりを入れ忘れたと思ったのだろう。
「あさりも一緒に入れて炊いちゃうと、ふっくらに仕上がらないから炊けたら混ぜるんだよ」
「雪の料理は食材に対する気遣いが細やかだね」
「そ、そうかな? 私はただ、あさりも食べられちゃうなら最高においしい状態で食べられたほうがいいんじゃないかなあって思っただけで……」
エドガーに褒められたのが照れくさくて、勝手に言葉尻が小さくなっていく。
そんな私を温かい目で見守ってくるエドガーに、恥ずかしさがピークに達した私は気を取り直して「で、でも!」と話題を変えることにした。
ニコニコ弁当屋のエプロンをつけたまま、ふらりと出かけていくランディに「自由行動しないでくださいよ!」とオリヴィエが叫んでいたが、本人は「俺に任せとけ!」と全く見当違いな返答をして去っていく。
「信じられません……宣伝と言いつつ、酒場にでもたむろう気では?」
静かに怒りに震えているオリヴィエの肩に、エドガーが手を置いた。
「ま、まあまあ。ランディの人柄なら、この町の人ともすぐに仲良くなれそうだよね。きっと、集客に向いてると思うよ」
「適材適所だ」
バルドさ──バルドも特にランディの行動に異論はないらしく、せっせとランチワゴン乗り込む。
それに促されるようにして私たちも中に入り、キッチンに立つとさっそくお弁当作りに取りかかった。
「まずは時間がかかるあさりご飯の準備からしよう。材料はあさりとグリーンピース、お酒に醤油……じゃなくて、プランブラン。だしを取る昆布」
「それは俺が準備しよう」
バルドが台の上に材料を並べていってくれたので、私はボールでお米を洗う。
それが終わると、水に漬けたお米の中に昆布を入れて置いておいた。
「今度はあさりの塩抜きね」
塩水に入れたあさりから、しっかり砂が抜けたのを確認して鍋に入れる。
そこへ醤油代わりのプランブランを大匙二杯とお酒を大匙一杯かけて蓋をし、蒸し煮した。
やがて殻がぱかっと開くと、あさりの実を出して一旦器に移す。
私はグリーンピースとお米、あさりの煮汁に塩を少量と水を百CCほど加えたものをエドガーが発明した炊飯器に投入した。
しっかりと具材を混ぜてスイッチを押すと、エドガーが慌てたようにあさりの容器を持ち上げる。
「あさりはご飯と混ぜなくていいの?」
エドガーは、私があさりを入れ忘れたと思ったのだろう。
「あさりも一緒に入れて炊いちゃうと、ふっくらに仕上がらないから炊けたら混ぜるんだよ」
「雪の料理は食材に対する気遣いが細やかだね」
「そ、そうかな? 私はただ、あさりも食べられちゃうなら最高においしい状態で食べられたほうがいいんじゃないかなあって思っただけで……」
エドガーに褒められたのが照れくさくて、勝手に言葉尻が小さくなっていく。
そんな私を温かい目で見守ってくるエドガーに、恥ずかしさがピークに達した私は気を取り直して「で、でも!」と話題を変えることにした。