異世界ニコニコ料理番~トリップしたのでお弁当屋を開店します~
「機能を説明しただけなのに、ここまで忠実に炊飯器を再現できるなんて、やっぱりエドガーのほうがすごいよ!」

「そんなふうに言ってもらえて、うれしいよ。雪が言ってたオーブンレンジも、もうじき完成できると思うから待ってて」


エドガーは旅の最中、時間ができると必ずと言っていいほど発明に没頭している。

それも私が欲しいと言ったものをリスト化してひとつひとつ制作してくれていて、この炊飯器も一昨日完成した出来立てほやほやの家電だ。


「うん、助かるよ!」


私は炊飯器をありがたく使わせてもらいながら、ご飯が炊けるまでの間にタラを削ぎ切りにすると両面に塩コショウをふった。

それから小麦粉をまぶし、溶き卵に浸からせて、パン粉をくっつけるとあらかじめ熱していた油に入れてきつね色になるまで揚げる。

大量にタラフライを作っていると、お米が炊けたので炊飯器から昆布を取り出した。

代わりに器に移してあったあさりの実を入れて、十分蒸らす。


「お弁当箱ですが、お米がべちゃっとしないように水分を吸ってくれる木製のものを用意しました。タラフライに関しては油のシミがお弁当箱につく可能性があるので、別におかずを入れるカップを使いましょう」


オリヴィエが台に並べたのは、パンターニュ王国を出立する前に祝いの品としてくれた小判型のお弁当箱だ。

木製なので、和風のおかずを入れるときは見栄えがいい。

私はせっかくなので、炊き上がったご飯にダシとして使った昆布を細かく刻んで混ぜ込むとオリヴィエの用意してくれたお弁当箱に詰めた。

その横にはレモンの汁で味付けしたタラフライを添えて、私は額の汗を拭う。

そうしてお弁当をいくつか作り終えたとき、ランディが戻ってきた。


< 106 / 204 >

この作品をシェア

pagetop