異世界ニコニコ料理番~トリップしたのでお弁当屋を開店します~
「どうしてこんなにお酒を飲んでるの?」

「聞いても楽しいもんじゃないぞ」

「それでもいいよ。おいしいご飯でも食べながら、話して?」


私はバルドに彼を担いでもらい、ランチワゴンの前に設置したテーブル席に腰かけさせる。

それからお弁当をひとつ持ってきて、男性の前に置いた。


「最後のひとつ、残っててラッキーでしたね! はい、どうぞ。あさりご飯とタラフライ弁当です」

「……どうも」


彼は渋い顔のままお弁当を見下ろすと、ふっくらとしたあさりの実とご飯をスプーンですくって口に運ぶ。

その瞬間、彼の目にはじわりと涙が漂う。

黙々とご飯を口の中に掻き込んで、「んうー!」だの「んんん!」だのと感嘆の声をあげた。

気に入ってもらえたようでよかったと胸を撫で下ろしていると、男性は弾かれたように私を見上げる。


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