異世界ニコニコ料理番~トリップしたのでお弁当屋を開店します~
「ライスの一粒一粒に、あさりの旨味と昆布が染みてるなあ! こっちのタラフライも……」
男性はしっかり油が切られたタラフライにフォークを刺し、サクッと音を立てながらかじりつく。
「……んん! 身が厚くてほくほくで、レモンがさっぱりしてて食べやすいじゃないか! しかも、衣がサクサクでうまい! お嬢ちゃんが作ったのか!?」
興奮している男性に私はくすっと笑いながら、「そんなに絶賛してもらえて、うれしいです」と肯定した。
お弁当をあっという間に平らげた男性は満腹になったからか、数十分前まで荒れていたのが嘘みたいに恵比須様のような笑みを浮かべている。
お茶を飲んでひと息つくと、お腹をさすりながら改めて「さっきは悪かった!」と謝ってきた。
「俺はロズベルト。このカイエンスで航海士を目指してたんだが、三年連続で試験に落ちててさ。同期だったやつらも、そもそも素質がなかったんだろうって笑うし、年齢も年齢だから、そろそろ諦めろって家族からも言われてて」
「そうだったんですね……。それでやけ酒を?」
「ああ、みっとないところを見せたな。最近では勉強も無駄な気がしてきて、家でも母さんから『いい大人が昼間っから飲んでばっかで、あんたを養う余裕ないよ』って、呆れられちまった」
肩をすくめるロズベルトさんはお弁当を食べていたときの笑顔を萎ませて、ため息をつきながら背を丸める。
男性はしっかり油が切られたタラフライにフォークを刺し、サクッと音を立てながらかじりつく。
「……んん! 身が厚くてほくほくで、レモンがさっぱりしてて食べやすいじゃないか! しかも、衣がサクサクでうまい! お嬢ちゃんが作ったのか!?」
興奮している男性に私はくすっと笑いながら、「そんなに絶賛してもらえて、うれしいです」と肯定した。
お弁当をあっという間に平らげた男性は満腹になったからか、数十分前まで荒れていたのが嘘みたいに恵比須様のような笑みを浮かべている。
お茶を飲んでひと息つくと、お腹をさすりながら改めて「さっきは悪かった!」と謝ってきた。
「俺はロズベルト。このカイエンスで航海士を目指してたんだが、三年連続で試験に落ちててさ。同期だったやつらも、そもそも素質がなかったんだろうって笑うし、年齢も年齢だから、そろそろ諦めろって家族からも言われてて」
「そうだったんですね……。それでやけ酒を?」
「ああ、みっとないところを見せたな。最近では勉強も無駄な気がしてきて、家でも母さんから『いい大人が昼間っから飲んでばっかで、あんたを養う余裕ないよ』って、呆れられちまった」
肩をすくめるロズベルトさんはお弁当を食べていたときの笑顔を萎ませて、ため息をつきながら背を丸める。