異世界ニコニコ料理番~トリップしたのでお弁当屋を開店します~
「ごめん、大丈夫だよ。 フェルネマータは雪山に囲まれた国だからね、よく雪崩が起きるんだ。雪、俺からもお願いしていいかな?  ロドンの町の人たちに雪のお弁当を食べさせてあげてほしい」

「エドガーにとっては故郷だもんね。もちろん、私もロドンの町の人たちを元気にしてあげたい。だから、お安い御用だよ。皆もいいかな?」


エドガーの腕の中から仲間たちの反応を見ると、異論なしとばかりに首を縦に振ってくれた。


「皆、ありがとう。次の目的地も決まったことだし、そろそろランチワゴンに戻ろう。雪、そばにいるから着替えたら声をかけて」


皆に戻るよう促したエドガーは立ち上がって、近くの茂みの向こうに腰を下ろすのがわかる。

私は皆がランチワゴンに戻ったのを確認してから急いで着替えると、「もう大丈夫だよ」と声をかけた。


「今日は災難だったね」


すぐにそばにやってきたエドガーは、私の手から白衣を受け取るとそのまま羽織った。


「エドガー、その白衣濡れてない? 乾かしてから着たほうがいいんじゃ……」

「気にならないからいいよ。それよりも、見て?」


エドガーにつられるようにして泉の方を向いた私は、そこに広がっていた光景に息を呑む。


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