異世界ニコニコ料理番~トリップしたのでお弁当屋を開店します~
「わ、あ……」
空にあるはずの月と星が泉の水面に映し出されていて、ここが地上であることを忘れそうになる。
幻想的な景色に呼吸すら忘れて見入っていると、不意に視線を感じて私は隣にいるエドガーを見た。
すると、景色に負けないほど美しい青の輝きを放つエドガーの瞳がそこにある。
「嫌な目に遭わせちゃってごめんね。今日が最悪な日で終わらないように、この景色が雪の心を癒してくれたらいいんだけど……」
「そんな、さっきのは事故みたいなものなんだし、エドガーは悪くないよ」
「いや、俺は祖国が雪害で苦しんでいるのを知っていながら逃げ出したんだ。そのつけが、こうして回ってきた」
自嘲的に笑いながらエドガーは目を伏せて、自分の前髪をぐしゃりと握りしめる。
エドガーは今、なにに対して謝っているんだろう。
話が食い違っているような気がして、私は真意を探るように彼の瞳を覗き込む。
「エドガーは故郷の話をするとき、苦しそうにするよね。その……帰りたくない?」
「帰りたくないというより、怖い……のほうが近いかな。自分の夢のために、責務から逃れたことを咎められそうで」
「もし怒られちゃったとしても、それなら全力で謝るしかないんじゃないかな?」
私は前髪を握りしめているエドガーの手を掴んで外させると、迷いが浮かんでいる双眼をまっすぐに見据えた。
空にあるはずの月と星が泉の水面に映し出されていて、ここが地上であることを忘れそうになる。
幻想的な景色に呼吸すら忘れて見入っていると、不意に視線を感じて私は隣にいるエドガーを見た。
すると、景色に負けないほど美しい青の輝きを放つエドガーの瞳がそこにある。
「嫌な目に遭わせちゃってごめんね。今日が最悪な日で終わらないように、この景色が雪の心を癒してくれたらいいんだけど……」
「そんな、さっきのは事故みたいなものなんだし、エドガーは悪くないよ」
「いや、俺は祖国が雪害で苦しんでいるのを知っていながら逃げ出したんだ。そのつけが、こうして回ってきた」
自嘲的に笑いながらエドガーは目を伏せて、自分の前髪をぐしゃりと握りしめる。
エドガーは今、なにに対して謝っているんだろう。
話が食い違っているような気がして、私は真意を探るように彼の瞳を覗き込む。
「エドガーは故郷の話をするとき、苦しそうにするよね。その……帰りたくない?」
「帰りたくないというより、怖い……のほうが近いかな。自分の夢のために、責務から逃れたことを咎められそうで」
「もし怒られちゃったとしても、それなら全力で謝るしかないんじゃないかな?」
私は前髪を握りしめているエドガーの手を掴んで外させると、迷いが浮かんでいる双眼をまっすぐに見据えた。