異世界ニコニコ料理番～トリップしたのでお弁当屋を開店します～

「これからサーモンパイを作ろうと思う。この料理はね、お父さんのお葬式の日にお母さんが作ってくれた料理なの。食べたら絶対に『おいしい』って笑顔になれる魔法の料理」

「もちろん、俺たちも手伝うよ」


エドガーが私の隣に立つと、他の皆も頷いてくれる。

ロドンの人たちを笑顔にしたい、この気持ちはきっと皆同じだった。


「最初は私のお手本を見ててね。まずパイ生地を作るために百グラムの無塩バターをサイコロ状に切っておきます。で、このときにお水も百ＣＣ測って一緒に冷凍庫に入れておく」


バターを凍らせておくと、パイの生地が層を作りやすくなって食感がサクサクになるのだ。

まずはここまでを皆でせっせと準備して、一時間経ったらバターを取り出し、ふるいにかけた小麦粉をまぶしながら手でなじませていく。

すると、バルドが思いっきりバターを手のひらで潰しているのに気づいて、私は慌てて止めに入る。

「バルド、バターは潰さないように！」

「す、すまない」

「ううん、初めは加減が難しいよね。溶けて来たらその都度冷やしながら、小麦粉でバターを包んでいく感じでまぶしてね」


私は皆の手元をちょくちょく確認しながら、大体小麦粉がなじんだら冷やしておいた水と塩を適量加えて生地に行き渡らせる。

生地がまとまってきたら二十分寝かせて、再び冷蔵庫から取り出したら次に棒を使ってまな板いっぱいに縦に引き延ばしていった。