異世界ニコニコ料理番~トリップしたのでお弁当屋を開店します~
「よくなければ、初めから持ってきたりしませんよ。見せびらかすだけ見せびらかして、あとはお預けなんて鬼畜な真似はしません」
「ありがとう……すぐにでも旅に出られるね!」
私はこれから始まる旅に胸を高鳴らせながら、皆の手を借りて食材をランチワゴンの冷蔵庫にしまう。
そんな準備すら楽しんでいると、エドガーの家からロキが出てきた。
「雪、エドガー、ランチワゴンもいいけど昼食もとらないと……って、随分とにぎやかになってるわね」
バルドさんやオリヴィエの存在に気づいたロキは、苦笑いしながらそばにやってくる。
私は大事な確認をするべく、緊張しながら隣に立ったロキを見下ろした。
「ロキ、皆で旅をすることになったの。ロキも……ついてきてくれる?」
「雪がそう願うなら、付き合うわ」
「ロキ……!」
私はたまらずその場にしゃがみ込み、ロキを抱きしめる。
そんな私たちをエドガーとバルドさんは温かい眼差しで見守っており、オリヴィエは「また変なウサギと一緒ですか」と嫌な顔をしていた。
個性豊かな面々を見回して、私は感慨深い気持ちで再びランチワゴンを振り返る。
「私は毎日を必死に生き抜いている人たちを笑顔にするために、ニコニコ弁当を届けるんだ。皆と一緒に」
「その、ニコニコ弁当って?」
ランチワゴンを眺めている私の隣に、エドガーが並んで尋ねてくる。