異世界ニコニコ料理番~トリップしたのでお弁当屋を開店します~

「嬢ちゃんたちはどうして、旅をしながら弁当屋なんてやってんだ?」

「皆、それぞれ理由はあるけど、たぶん自分探しのため……かな?」


エドガーは自分が発明をする意味を見つけるため、バルドさんは右目の視力を失ったあとの人生を見つけるため、オリヴィエは仕事で成功しても治まらない飢えを満たすためにこの旅に参加した。

もちろん私も今できることをしながら、お母さんがいない世界でどんなふうに生きていきたいのかを探すためにお弁当屋をしている。


「いろんな人に出会って、いろんな世界を見たら、描きたい未来が形になるんじゃないかって、そう思うから」

「嬢ちゃんのそばにいりゃあ、本当に見つかりそうだな。なりたい自分ってやつがさ」


どこか切なさを帯びた声だった。
ランディはそれっきり窓の外の景色に目を向ける。
その横顔をノヴァはなにか言いたげに見つめていた。




***


盗賊の住処に帰ってくる頃には、日が暮れていた。

旅を再開する私たちを見送りにきてくれた盗賊の皆さんに別れを告げていると、ノヴァがランディを見上げる。

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