ひみつ
しばらく待って、お母さんが車椅子を引いてやって来た。


「ごめん遅くなって、どう、車まで歩けそう?」


「うん」


少し軽くなった体を引きずりながら、車に向かう。


「莉菜、学校なんだけどさ、お母さんの車、バリアフリーとか全然なくて、それも仕事があるから、駅まで車椅子押してくから、電車で言ってもらうってことできる?」


「うん、ちょっとぐらい体力つけないといけないし、駅から学校までそんなに遠くないし大丈夫だよ」


「ごめんね...最近仕事詰まっちゃってて...」


「ううん、仕事が仕事だから、それに迷惑かけたくないから。」


「ありがとうね、莉菜...」


お母さんの目はうるうるしてた。


死期が近い娘で、親不孝だよね...





家に帰ると、そのままベッドに横になった。


「あと三日ほどは家で全体安静だから、もうちょっと我慢してね」


ベッドにちっさい机を置いて、勉強出来るようにして、三日間は家で過ごした。


テスト勉強、今のうちにしなきゃ...


ちらっとまた浮かぶ彼の顔。


“図書館でまた授業するからさ”


好き...


好きだよ彼が。


恋をしたい。


恋をしたいよ彼と。
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