ひみつ
「高瀬、大丈夫か?」
1週間ぶりに行った学校。
担任の先生がわざわざ駅まで来てくれて、車椅子を押してくれた。
小学校のとき、大きな手術を受けるまでは車椅子で生活してたから、割と1人で動かせるけど、体力はもう無くなってた。
「クラスの人たちにはまだ言わないんだよな?」
「はい.....迷惑なことは分かってるんですけど、不治の病を抱えた身体障害者として見られたくないんです。」
「そうか...」
「先生、母親から、私の病状どこまで聞いてるんですか?」
「いや、俺もそんなに聞いてない。ただ、今回、主治医の先生と相談して、心臓への負担を抑えるために、車椅子で生活することになったと聞いただけだなぁ...」
「先生、誰にも言わないでくださいね?」
朝の職員室。
朝早すぎてだれもいなかった。
“持って一年ですと言われました”
コソコソっと先生に言った。
先生は唖然としてた。
そうだよね、自分のクラスの人が余命1年って...
「私、卒業出来ないです」
「高瀬、無理しないでいいから、今を楽しむんだ。余命なんて、あくまでも憶測だから、もっともっと生きれると強く信じて...」