どら焼きにホイップを添えて
空は気持ちのいい晴天で、冬のわりに気温も高いぽかぽか陽気。隣を見上げれば、好きな人の横顔がある。
ああ、なんかすごーく幸せ……。倉田さんとなら、こうして歩いているだけでもいいや……。
そんな穏やかな気持ちで、川越のレトロな街並みを歩くことおよそ十数分。私たちは目指していた陶器店に到着し、暖簾をくぐった。
「わ、ちょっ、ダメ、ああああ~~~」
楽しみにしていた陶芸体験だったけれど、私には全くと言っていいほど陶芸のセンスがなかった。
電動ろくろの動きと手の力加減がうまくかみ合わずに、土がぐにゃぐにゃに曲がってしまい、お皿を作るどころではない。
「ダメだ……。私は洋菓子作りしか能がないみたいで、す……」
しょんぼりしながら隣の倉田さんの方を向いた私は、思わずドキッとした。
わーわー言いながら私が失敗を重ねる横で彼は黙々とろくろと回していて、その瞳は真剣そのもの。手元では、見事な平皿がどんどん形になっていた。
すごい……倉田さんの集中力。私も、諦めないで頑張ってみようかな……。
私は彼に感化され、諦めかけた自分の皿を再び作ってみることにした。