どら焼きにホイップを添えて

「実は……デートを承諾したのは、きみの熱を冷ますためだった」

「え……?」

熱を冷ます……って、どういうこと……?

首を傾げる私に、倉田さんは伏し目がちに語る。

「俺たちはだいぶ年が離れているから、デートをしたって話が合うはずがない。きっと、気まずい時間を過ごすことになるだろう。俺はそう踏んで、わざときみの誘いに乗ったんだ。きみが俺に抱いてくれた気持ちは、一時の迷いだと気づいてほしくて」

「そん、な……」

嘘でしょ? じゃあ、倉田さんは今日、私を突き放すためにここへ……? 

思わぬ彼の本心を知って、指先から血の気が引いていく。

「……でも」

しかし、彼の言葉には続きがあった。ずっと下を見ていた彼の瞳がゆっくり私をとらえ、その熱をはらんだ強い眼差しに、胸が早鐘を打つ。

でも――その先に続くのは私にとってうれしい言葉だって、期待してもいいの?

緊張しながらごくりと喉を鳴らし、祈るように彼を見つめていると。

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