どら焼きにホイップを添えて
「待ち合わせから今まで、楽しくない時間は少しもなかったよ。年の差を忘れてしまうくらい、きみとは話も合うし……女性としても魅力的だと思う。陶芸体験の時はきみの意思に乗るような形でまた会おうと言ったけど、俺自身が心から、またこうしてきみと会いたいと思ってる」
「倉田さん……」
さっき一度冷たいことを言われたせいで、それとは逆の展開に涙が出そうなほど感激してしまう。
「よかった……フラれたかと思った……」
瞳を潤ませ、情けない声でそう漏らす私を、倉田さんは優しい眼差しで見つめて謝る。
「ごめん。ホント、こういうことには慣れてないから不器用で……。でも、傷つけた責任はちゃんと取るから」
彼の真摯な言葉にますます涙腺は刺激され、私はこらえきれずにぽろぽろ涙をこぼしてしまう。慌てて両手で顔を覆うと、頭の上に優しい温もりが触れた。
思わず顔を覆う手をどけてみると、テーブルの向こうから伸びた倉田さんの手が、私の頭をそっと撫でていた。
「ありがとう。泣くほど、俺を好きになってくれて」
もう……倉田さんってば、また、泣かせるようなことを……。
私は泣き顔のまま無理やりくしゃっと笑って、「はい」と頷いた。