どら焼きにホイップを添えて

「なにか手伝うことは?」

「うーんと。あっ、生クリームホイップし忘れてる!」

「生クリーム? どら焼きなのに?」

「そ。ついでにイチゴも手に入ったから、ショートケーキ風にするの」

……なるほど。最近はうちの店でも和と洋を融合させた菓子は人気がある。

特に餡子とホイップという組み合わせは、あからさまに高カロリーであろう罪悪感がたまらないのだと、彰の嫁、結奈さんが力説していたな。

「しかし……俺たちみたいだな」

毬亜の隣で生クリームを泡立てながら、俺はふと呟く。

「うん? なにが?」

「どら焼きにホイップという組み合わせだよ。昔ながらの和菓子に、甘くてふわふわしたクリーム……ふたつを合わせると、罪悪感が湧くほどに、甘い」

俺はそう言って、隣にいる毬亜に軽く口づけた。

まさか自分がこんなふうに女性に愛情表現する日が来るとは思いもしなかったが、毬亜と過ごす時間を重ねれば重ねるほど愛しさは募り、彼女の前では驚くほど甘い言動をしてしまう。彰なんかが見たらひっくり返りそうだ。

「……うん。そうだね。ちょっと、甘すぎるくらい」

毬亜は頬を染めながら、ふわりと微笑む。

その笑顔は泡立てたばかりの真っ白なホイップのように純粋で。

見ていると、愛があれば本当に年の差なんて取るに足らないことだと思えてくるんだ。

――愛しているよ、毬亜。

これからも、罪悪感が湧くほどに甘い日々を、ふたり一緒に作り上げていこう。







FIN



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