どら焼きにホイップを添えて

「ええっ、すごーい! 倉田さん、どんなデートするんだろう。行き先は?」

「川越です」

「渋っ。でもなんか倉田さんらしいかも。川越、美味しいものもあるしね」

言いながらマルゲリータを頬張り、とろーんとチーズを伸ばしてたまらないという感じの顔をする結奈さん。

その幸せそうなまあるい笑顔はとっても可愛くて、彰が彼女を溺愛するのもわかるなぁなんて思う。

……私も好きな人に愛されたいな。

「私、そのデートで頑張っちゃいますから!」

「うんうん、毬亜さんみたいな頑張り屋さんで積極的な子、倉田さんも絶対好きだと思う。応援してるね!」

「はいっ!」

若いとか外見とかじゃなく、内面を褒めてくれる結奈さんはやっぱりいい人だ。

彼女に励まされて勇気をもらった私は、川越デートでさっそく勝負に出ることを決めた。

年の差なんて関係ない。私は、素晴らしい職人魂を持った倉田さんと、お互いを高め合うような関係になりたい――。



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