恋のライバルは冷徹王子!?
「私、迷ってしまって…入学式の会場…」

ああ、とその人は自分の胸元を指差した。

そこには赤いコサージュがついている。

「俺も新入生だよ。正門で入ったらこのコサージュが貰えたんだけど…君、違う門から入っちゃった?」

その問いかけに私はブンブンと頷いた。

「そっかそっか。どうりで迷っちゃうわけだ。この学校、無駄に広いしね」

頭の葉っぱを払いながら、そう思わない?とでも言いたげに目配せをしてくる。

その表情は同級生とは思えないほど大人っぽくて。

澄んだ茶色の瞳を向けられた私は思わずドキドキとしてしまった。
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