恋なんて、しないはずだった
でも、付き合わなくなっていいって思ってた。
だけど高校2年になって、千景くんに告白されて、しつこく迫られるようになったあたしに大和が「もう、耐えらんねーわ。お前俺の彼女になれよ」って言ってきてあたしたちは付き合うことになった。


「みーどり。大好き。ずっと一緒にいような」


誕生日、クリスマス、いろんな日々をあたしたちは一緒に過ごした。
恋人になった大和はいままで以上に優しくて、あたしを大切にしてくれて幸せ過ぎて怖いくらいだった。
この幸せは大和の隣にいれば揺るがないものだってそう信じていた。

──幼なじみだからって運良く彼女になれたくせに。
これは、大和のことを狙っていた女の子たちによく言われた言葉。

あたしだって、そんなのわかってる。
顔立ちがハッキリしてモデル並みのスタイルの良さ、そんな大和のことをみんなが放っておくわけがない。
そして、可愛くもないあたしが釣り合うような人じゃないってことくらい。


「モデル、興味ありません?」


読モの声がかかったのは、そんな自信のなさに打ちのめされそうになっていたときだった。


「やってみたい!」


そう返事をしたのは、どうしても自分に自信が欲しいからだった。
今思えばこれが間違いの元だったってわかるけど、この時のあたしは周りの見る目を気にすることに疲れ果てていたんだ。
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